今年のお正月はすっかり巣篭りしてしまったので
年末に訪ねた「小鹿田焼の里」のお話を。
2016年も押し迫った週末、福岡へ旅行することになりました。
全国の窯元を訪ね歩くのが大好きで
バイヤーの窯元訪問出張(たとえばこちら)が
うらやましいと思っている私は
この機会に小鹿田焼の里を訪ねることにしました。
ダブルデイでも人気の小鹿田焼が作られているのは
大分県日田市の北部の山深い地域。
細い山道に沿って車を走らせると
日本の原風景を思わせる小さな集落が現れます。
実際、小鹿田焼の窯元は十数件ほど。
しかも一子相伝という特殊な焼き物の里なんです。
集落を散策しはじめると、どこからか「ぺったんぺったん」という音が聞こえてきます。
音をたどっていくと、大きな杵が土をついている音でした。
これは「唐臼(からうす)」と呼ばれる小鹿田独特の手法で、
小川の流れを利用した杵で陶土を粉砕しているそうです。
なんと2週間以上もつくのだとか。
集落のあちこちでこの音が聞こえるのどかな風景。
すっかり魅了されてしまいました。
さて、訪ねたのは夕暮れ時。
標高が高い山は日が陰ると急に冷え込み、
静かな集落が一層静かに感じられます。
そんな中、各窯元の直売所を見せていただき、
素敵な器を探し求めました。
もう、並んでいる器全部欲しい!と思うほど
素敵な器がたくさんあるなか、
吟味に吟味を重ねて小鹿田焼の特徴的技法である
「飛び鉋」の皿を数点。それに、全身黄色の蓋物も。
産地を訪ねて製作者のお話を伺ったり、
作陶されている様子を見せていただくと
器への愛着も一層わいてくるもの。
この日は器の他にも、登り窯に火が入っている様子や、
60年ぶりに作っている新窯など、
普段はなかなか見ることができない光景にも出会えました。
あっという間に時間がたってしまい、
気づけば暗くなっていたほど。(そして寒かった!)
信楽のような大きな産地も楽しいですが、
生産者との距離の近さは小さな集落ならではの醍醐味ですね。
連れて帰ってきた器たちに
どのようなお料理を盛り付けようか・・・
2017年のお楽しみになりそうです。