模様入りの光

子供のころに住んでいたのは、 天井ウラに青大将が棲みつく、当時で既に築100年近くの古家。 襖と障子、真壁造、漆喰や砂壁、板敷きの縁側、木の縦格子といった和風に、 昭和の生活様式を押し込んだような家でした。 今は国道になってしまって跡形もありません。 旅先で、そんな家を思い出すような いろんな時代が相乗りした古家がありました。 特に”昭和”感を醸し出すのは、 模様ガラスを嵌め込んだ扉や木枠の引き戸。 アルミサッシが普及した現代家屋やマンションでは めったに目にすることがなくなりました。 完全に仕切るわけでも見通せるわけでもない 程よい透け感と光の切り取り方に、 単に「懐かしい」だけではない趣と、 日本らしい空間感覚や、 時代との折り合いのつけ方の妙を感じます。 無くしてしまうのは惜しい工業品です。